第二二八稿(パイプの吸い方について、【指パカ】良きスタイルとは【パカ】)
時にそれで面白いと思うのは、人は閉じられた狭い世界にいると妙な風に進化したりもする。かつてのチョンマゲにしろヨーロッパ貴族のカツラにしろ随分斜め上に進化するものです。中世であれば股間にあてものをして「ほら立派だろう」とばかりに澄まして肖像画に収まっているような貴種の人達がいたのだから、人類のそのアホさ加減と言えば推して知るべしですがでもそれが私達でもある。

今で言えば族車風(というか旧車会風と言うのか)の進化とか「コール」の恰好良さを競うとか、相当変だと私は思うのですが、それはそれで仲間内では恰好が良いのだから仕方がない。
恰好良さ・美の基準がどんどん一元化されていくのは、ある意味つまらないことなので「コールの達人」さんたちにはまだまだ頑張ってもらいたい所ですが、個人的に良いスタイルを作りたいと思うならば、やはり先述のように広く範をとって見て真似していくのが良いでしょう。それで今日、Youtubeやその他の動画共有サイトの力とは凄いものだなと思うばかり。

そこで今日のお題はパイプの吸い方なのですが、私のように身近にパイプスモーカーがいない場合どういうものなのかイメージしづらいという問題があります。昨今は映画を見ても滅多に描写されないわけですし、規範となるモデルがないと独自進化してしまう恐れもあります(それはそれで別に良いのかも知れませんが)。
そこで百聞は一見に如かず。
Ye Olde Briarsさんで紹介されていたブレンダーさんの動画。
英語なので言ってることがわからずとも吸うシーンは面白い。
4分50秒位から問題の喫煙シーン。指でパカパカ開けたり閉めたりしてる。
それにしても狂気あふれる感じの好青年です。将来高名なブレンダ―になるんじゃないでしょうか。
以前、行きつけの煙草屋の主人とお喋りしてて言われたことですが、指でフタをして吸う人もいるんだよと。火を小さくするべきだ、との文脈で言われたことですが、そんなの火傷するじゃないかと当初は思ったのです。でも本当にやってますね。
思うに吸気のコントロールというか、強く吸うための抵抗というか、いずれにしても(少なくとも本人には)意味があるのでしょう。私が想像するに、例えばワインの専門家なども試飲の際には下を向いて派手にゴボゴボしたりしますから、何かそういう動きをすることでより味覚や嗅覚が研ぎ澄まされるようなことがあるのかも知れません。あるいはワインと空気を混ぜて香りを確認したりとか。
これはプロのブレンダ―さんなので、より深く味わうための方法なのだろうなと。でも同時に、レストランでゴボゴボワインを飲む人がいないように、これはあくまで攻めの吸い方なのであって、あまり人前でやるようなスタイルではないのかも知れない。パコパコと音を立ててますし(多分良い意味で)変態チックでもある。

あまり知られてませんが、トロペジエンヌというお菓子。
避暑地で有名なSaint-Tropezの名物。凍った感じで売ってる。別に1792には合わなかった。
あくまで見て楽しい一例、ということで記事にしましたがパイプスモーカーとは皆研究熱心でマニアックという印象がありますから、最終的には各々具合の良いようになるんじゃないでしょうか。ちなみに私は口腔内の体積を変えその負圧で絞りだすように吸うのがなぜか好みにあうので、変顔をしつつ吸っているようです。家人に魚みたいと笑われたので人前ではあまりやらないようにしよう。が、それもまた一興ということで。
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