四気筒エンジンのキャブレーター同調なんて素人がうかつに手を出すべきものではない、と思っていました。が、今日、探せば情報はいくらでもネットで見つかりますし、色々見ていると出来そうな気がしてきます。そもそも仕組みは簡単ですし、複数のキャブ間の負圧を揃えれば良いだけなので、具材が揃っているならば決して難しい作業ではないはず。
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第一四八稿(GSX-R1100、キャブレーター・ミクニBST34SS)・
第一五二稿(GSX-R1100、圧力計とブルドン管0点調整)・
第一六三稿(キャブレーター同調、自作器具の気密性)・
第二〇六稿(GSX-R1100、キャブレーター同調、の下ごしらえ完了)
手作り感満載の(と言うか手作りそのものの)シンクロ装置。
ペットボトルは底に穴をあけてノズルを付けた方が使い勝手は良かったでしょう。今回はとりあえずやってみる、という事自体に意味があり、またできるだけ安価に自作で道具を揃えることに目的がありました。準備したものは以下の通り:
- 圧力計(負圧を測れるタイプで汎用品、ネジはNPT1/4)
- ノズル(NPT1/4 → 6㎜)
- シリコンチューブ(内径6㎜)
- ポリウレタンチューブ(外径6㎜)
- レギュレーター(外径6㎜用)
- 負圧取り出し用のノズル(M5)
- Oリング
- シールテープ
サブタンク用に:
その他
圧力計チェック用に注射器。
すべてアリババと40人の盗賊特急(アリエクスプレス)で購入してます。総額は〆て五千円以下でしょう。
安いのは良いのですが、探すのにコツと労力が要りますし、ネジやら径やら多少ややこしくなります。あともちろん配送には時間がかかる。
ですからそういう事が苦にならない、あるいはむしろ面白いという変態チックな人以外は出来合いのキットを購入した方が良いのだと思います。圧力計自体の精度が気になる人も同様。それ以外は気密をちゃんと保つ事に気を付ければ問題ありません。ちなみに圧力計の精度ですが、定圧にて同じ値を示せば用は足りるので、私はそれ程気にしませんでした。
それに対してチューブやレギュレーター、ノズルやOリング等の品質は上々と思います。この程度の用途には全く問題ありません。
さて、そんなわけで長々と準備してきましたが、ようやく作業にかかります。なにせ初の経験なので時間がかかるだろうし、気温が高くなり過ぎる前に済ませてしまいたい。
たまたま隣人のパトリス(二児の父)がZRXのチェーン掃除に降りてきていたので手伝って貰う。と言うより自作の圧力計を見て目を白黒させていた。彼はメカいじりはしたくても自分ではできない、と思っているタイプなのですっかり喜ばれてしまった。

チューブを繋ぐだけですが面倒なのがここ。内側2番3番はやっかいです。そうでもなくても+ネジは潰しがちだし、ノズルを入れる際にも斜めに入れたら一巻の終わり。面倒でしたが、念のためキャブ自体を外しました。

汎用のノズルなので短く作業しにくい。
細いアレンキーを差し込んで伸ばして作業しましたが、あくまで手でねじ込まないと危ないです。
また、付属の樹脂ワッシャーでは気密性が心許ないのでM5用のOリングに交換。それなら軽く締めるだけで漏れません。
そしてエンジン始動、少し暖機した後アイドリングを上げます。

いい感じに狂ってました。これならやり甲斐がある。
むしろ嬉しい。でもこんな状態で走ってたのか、と思うとちょっと悲しく恥ずかしくもある。
予備のキャブで予行演習。ネジはこの位置で結構深い。
写真のファコムのドライバーにエクステンションだと微妙に動いてかなりやりづらく、普通に長いのものを使用。調整はマイナスドライバーで規定のネジを三本いじるだけ。マニュアルによれば、まず4番を3番に合わせ、次に1番と2番を合わせ、最後に1-2と3-4を合わせる。この最後のネジにはロックナットがついてる。確か8㎜のソケットで解除できる。
ネジの位置が深く多少苦労しますので、長くしっかりしたマイナスドライバーがあると良いです。
そして、

まずまず揃いました。3番がちょっと低いですが…まあ初めての経験、かつバイクとは恋人なのであまり最初からあまりしつこくしない方がいいかと。次回は(いつ?)もっと上手くできるでしょう。念のため(ブルドン管を捻ったりしているので)、作業終了後に再度注射器で圧力計間のばらつきを確認しておきます。結果はちゃんと揃っていた。どうも一度揃えれば問題ない様子。
雨が降っているのでまだ試乗してないのですが、アイドリングが全然違います。明らかに安定してる。もともとそれ程不安定というわけでもなかったですが、はじめの状態でメーターを見れば結構ズレてましたから、これは当然の結果なのでしょう。例によってもっと早くやっておけば、というパターン。
個人的にとても面白いと思ったのは、同調作業中透明なチューブの中をガスが行ったり来たりしているのが見える。これは予想だにしていませんでした。あくまではっきりと見えるわけではないのですが、良く見るとナニカが行ったり来たりしてる。はじめエクトプラズムかと思った。流体力学の妙ですよこれは。
ともあれ、材料集めから始めて無事に済み、かつ効果も高いということで本人的には満足度の高い整備となりました。
次回は…このまま調子にのってタペット調整?その昔、グッチではやった事あるのだけど、あれは鬼の好アクセスだからちょっと参考にはならない。それにひとたび開けると色々不具合が見つかりそうで躊躇してしまいます。
※2016/5/27追記:同調後初乗り。エンジン水冷になったかと思った。快適です。
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